国は障がい者が障がいのない人と同様に能力を発揮して職場の戦力となれるよう、様々な施策を講じています。障がい者雇用枠はそうした施策の1つです。今回は障がい者雇用枠で働く場合のメリット・デメリットについて解説しています。
ちなみに、障がい者雇用(特例子会社)で働く人というのは離職率が極めて低い傾向にあります。
A型事業所・B型事業所を転々としながら働く障がい者も、働く時間は当然長くなりますが、メリット・デメリットを考えながら参考にしてください。
障がい者雇用枠で働くメリット
障がい者雇用のエージェントから紹介をされた企業で、障がい者雇用枠がある企業では障がい者を受け入れる体制が整っている会社です。エージェントには自分の障害を伝えておく事で、自分の障害に合った会社を紹介してもらう事が出来ます。
更に、以下のようなメリットがあります。
- 体力や能力に応じた業務を割り当てられるため、無理をせずに自分のペースで取り組むことができる。
- 下肢障害があって車椅子を使用している人や、人より疲れやすい精神障害の人は、出退勤時間はラッシュ時を避けてフレックスタイム制にしてもらえる。
- 視覚障害のある人には、画面読み上げソフトや拡大読書器が導入される。聴覚障害の人には、手話通訳や筆談用ボード、音声認識ソフトが導入される。
- 一度に複数の指示を出されると混乱してしまう発達障害や知的障害のある人には、作業手順をイラストなどを使ってわかりやすく説明したマニュアルが用いられる。
- 勤務時間中に服薬や通院が必要な人には時間を調整してくれるので、医師の指示通りに治療を続けることが可能。
障がい者雇用枠で働くデメリット
障がい者にとって、障がい者雇用枠と言うのはメリットが多いのですが、上記すべてが整っている企業はコチラでも紹介しているような誰もが名前を知っている大企業くらいです。
障がい者雇用枠と言うのはメリットが多いようですが、メリットがあるので当然デメリットもあります。
- 障害者雇用枠の求人数は一般雇用枠より少ないため選択の幅が狭く、やりたい仕事を見つけにくかったりします。
- アシスタント的な作業をしたり、単純作業を割り当てられることが多いので、他社でも通用するほどのスキルアップやキャリアアップを図るというのが無理ではありませんが、難しいでしょう。
- わかりやすいのは、一般雇用枠より給料や賞与が安くなります。当然A型事業所よりも良いので、切り詰めれば生活できますし、グループホームならなんとか貯金も出来ます。
障がいは隠すべきではない
自分の障がいを隠して一般枠で就職した場合、確かに毎月の給料は良いでしょう。回される仕事も、やりがいを感じられるような仕事をする事が出来ると思います。
ですが、障害に対する配慮は受けられません。残業も業務命令の場合は休めませんし、障害を理由とした体調不良で休めませんし。仕事の内容も同僚などと同じくらいの成果も求められますし、おそらくノルマもあるでしょう。
更に、障がい者だという事を隠さなければいけないという精神的なプレッシャーが重く、そうした事が過剰なストレスとなり、結果として離職しなければならないケースもあるようです。
同じ会社で長く働くという事からも、最初から障がいがある事を前提として雇って貰える、障がい者雇用枠で働く事をお勧めします。周囲の理解がある分、働きやすいからです。
他の一般枠で働いている同僚より、仕事の無いように不満があったり、毎月の給料が安いなどあるかもしれませんが、その分、伸び伸びと働く事が出来ますし、最初は契約社員でも正社員として雇用してくれる事もあるかもしれません。
障がい者枠で働きたいけれどどんな仕事をしたらよいか良くわからない人は、各自治体の「障害福祉課」に相談してください。
あとがき
障がい者枠で働く人の離職率と言うのはかなり低いようです。自分の障がいを隠さずに働けることほど障がい者にとって働きやすい環境ってあるでしょうか?給料は周りの同僚よりは低いでしょう。でも、障がい者が受け取る金額にしては多いので、障害を隠す必要もなく、それなりの賃金を受け取れるなら辞める理由はありませんね。