料理(調味料)の「さ・し・す・せ・そ」を答えられない人って多いんですよね。「調味料のさ・し・す・せ・そ」は、和食を作るときの基本の調味料を指すと同時に、調味料を使う順序を覚えやすく並べたものですが、最近は和食が当たり前の時代ではないので、調味料もたくさんありますね。
和食の調味料にはいろいろな個性がありますが、その個性を生かして、味を効率よくしみこませたり、素材のおいしさをより引き出せる使い方を、昔の日本人が経験の中から知恵として身につけて、今の私たちまで伝わっているものです。
あなたは全部答えられますか?
「さ」は砂糖(酒の場合もあります。)です。
「さ」は砂糖類を指します。みりんも砂糖と同じように扱い、お酒も含まれるとすることもあります。
砂糖は分子が大きく、他の調味料より素材にしみこみにくいといわれます。
砂糖はまた、水分をかかえこみやすいことから、肉や魚をやわらかく感じさせる作用もあります。椎茸を戻すときに水に砂糖を少し入れると早く戻せますが、これも砂糖の力です。
砂糖は単に食品に甘味を付けるだけではなくて、様々な効果があります。
タンパク質の熱凝固抑制-卵焼きやプリンが柔らかく仕上がる
乾燥防止-焼き菓子の乾燥を防ぐ
ペクチンのゲル化-果物のペクチンをゲル化させかつ水分活性を抑えることで日持ちのするジャムにする。
デンプンの老化抑制-デンプンの老化を抑制して餅菓子などを柔らかく保つ。
油脂の酸化抑制
イースト菌の発酵促進
着色・着香
アミノ酸とのメイラード反応によって食品によい色と香りを与える。
防腐
砂糖漬け、あんこ、果実ジャムなど。
こんな感じです。甘みを付ける為だけに使う訳ではありませんね。
「し」塩はです。
「しょうゆ」と答えた方はいませんか? しょうゆは不正解。「し」は塩を指します。
また塩は、少量で味に大きな変化をもたらすので、お料理のプロはタイミングや量を素材の性質や鮮度などを考え、とても細かく使い分けているそう。味噌やしょうゆといった塩分を含む調味料を一緒に使うときには加減を考えましょう。
塩は分子が小さくてすばやく素材に入りこむため、野菜の余分な水分や魚の臭み成分を浸透圧の作用で外に出してやるのに便利。お料理の下処理にもよく使われますよね。
塩は一番原始的な調味料ではないでしょうか?焼いた肉に岩塩から削った塩をかけて食べるのが一番最初の料理ではないでしょうか?(料理と言えるかは別として。)
「す」はお酢です。
酢の物には必ずお酢と塩が使われますが、たとえばきゅうりの場合、水分が多く、いきなりお酢をふりかけてもなかなか味がしみこみません。そこで、塩でもんでおいて水分を出してからお酢を使うと、酸味がきゅうりにしみこみやすくなります。
塩梅という言葉があるように、塩とお酢は順序だけでなく量のバランスが大事だと、大昔からいわれてきました。塩梅はもともと「塩」と「梅酢」を指した漢語で、塩が多すぎると塩辛いし梅が多すぎると酸っぱいけれど、程よくまじりあえばとてもおいしいものになるという意味でした。
調理の例としては
酢蛸
酢飯
酢漬け
ピクルス
ソリャンカ
マリネ
酢豚
サワードリンク
ですね。
「せ」は醤油です。
料理の「さ・し・す・せ・そ」を聞かれて、一番ここで悩む人が多いでしょう。何故、「せ」なのに「しょうゆ」なんでしょうか?
昔の仮名遣いでは「しょうゆ」を「せいゆ」と書いていたことから、この語呂合わせができました。(なお「せいゆ」は許容仮名遣い。国語の歴史的仮名遣いには入っていないけれども、広く一般に使われていた表記)
現在、濃い口しょうゆが最も一般的なものであり、生産高の約8割を占め、通常「醤油」というと濃い口しょうゆを指します。他にも薄口だけではなく、たまり、さいしこみ、白と、まだまだ種類は尽きませんが沢山あります。
「そ」は味噌です。一説にはソース類やソーダ類(うまみ調味料など)もここに入れるそうです。
味噌は発酵食品。加熱により香りが飛びやすいので、仕上げ直前に加えます。ご存知の方も多いと思いますが、味噌汁に使う場合、味噌をだし汁にといてから、沸騰させないように加熱するのがおいしくいただくコツ。
味噌汁の香りは、水温90度くらいのときに一番強く感じ、沸騰や長時間の加熱をすると香りが飛んでしまいます。なお、加熱することによる風味の失われ方は、味噌の種類にもよるそうです。
味噌に含まれる塩分は、信州味噌や仙台味噌などは13~14%、西京味噌など甘味噌は5~7%など、産地や種類で異なります。健康ブームをうけた減塩味噌や低塩味噌なども作られています。
味噌は日本に昔からある調味料の一つです。なので、味噌を主体とする料理も沢山あります。いくつか有名な料理を挙げると。
主菜・主食
味噌おでん - 茹でたこんにゃくに味噌を塗って食べる田楽。
味噌煮込みうどん - 生麺を八丁味噌仕立てのだしでそのまま煮込んだ愛知県(名古屋地域)のうどん
味噌ラーメン - 札幌ラーメン、信州ラーメンなど味噌を主体にしたご当地ラーメンが全国各地にある。
なめろう - 生の魚の身と味噌を混ぜたペースト状の料理。
味噌カツ - 豚カツのソースとして赤味噌仕立てのたれをかけた料理。
石狩鍋 - 鮭などを具材とした北海道の鍋料理
土手鍋 - 牡蠣を用いた広島県の鍋料理
副菜
味噌汁 - 豚汁、冷汁
味噌田楽 - 豆腐の切身等を竹串に刺し赤味噌等を付けて炭焼きにしたもの。
風呂吹き - 大根等を煮て、練り味噌をかけて食べる料理[40][41][42]。
濃漿 - 味噌味で濃く仕立てた汁物。鯉こくなど。
土手焼き - 牛のすじ肉を味噌で煮込んだ大阪府の料理
おやつ・菓子
五平餅 - 潰したご飯に味噌をぬって串焼きにしたもの。
味噌松風 - 味噌仕立ての焼き菓子。
味噌饅頭 - 味噌生地のまんじゅう。
味噌あん - 味噌で調味した白餡。柏餅などに使用される。
味噌せんべい - 八丁味噌せんべい。味噌煎餅(岐阜県飛騨市)。
味噌かりんとう - 八丁味噌を使ったかりんとう。
味噌パン - 味噌を使った菓子パン、または惣菜パンの一種。
とにかく味噌は色々な料理に使われているんですね。
まとめ
5種類全部が分かった人でも、なぜ「せ」が醤油なのか疑問だった人も多いのではないでしょうか?料理の「さ・し・す・せ・そ」って意外と知らない人が多いんですよね。だって、専門的な学校は別として、普通の学校じゃ教えてくれませんからね。
「さ」=砂糖
「し」=塩
「す」=お酢
「せ」=醤油
「そ」=味噌
です。